愛という幻想
「愛」という言葉に捕まった瞬間から、リアリティは消えてなくなる。
それは、永遠に出口の見つからない迷宮への誘い水。
「愛」に囚われ、「愛」に翻弄され、「愛」に裏切られる。
そして、「愛」に救われ、「愛」に励まされ、「愛」に気づかされる。
「愛」とは、一体何なのか。
人は、正体のわからない「愛」という言葉を、Jokerのカードのように
説明のつかない心の切り札として利用する・・・・・・
その、あなたの「愛」という言葉に込めた意味は?
「愛」はエゴであり、「愛」は献身あり、「愛」は欲望であり、
「愛」は共感であり、「愛」は励ましであり、「愛」は教師である・・・・・・
無数に出てくる「愛」の無段階活用。
辞書を引いても、答えはないよ。
そこには、「好意、愛情、性欲、性的魅力への深い愛情、
さらには、「敬意と愛情の混じった、強く前向きな感情」なんて
意味不明の解説しか出てこないんだから。
わたしは、すごく長い間「愛」という言葉に捕まっていました。
「愛」ってなに?「愛」って。
だから過去のわたしの「書いたもの」には、呪文のように「愛」という言葉が
書き連ねてあって、もう、それこそ「愛」という言葉に溺れるような有様でした。
でも、ある日気づいたの。
「愛」という言葉を一切使わずに、その感情と心の意図を別な言葉で
表現してみよう。
そうしたら、「愛」が見えてきた。
「愛」という言葉にごまかされない、真実の心の襞(ひだ)が。
「愛」という言葉は、それらすべての象徴として存在する折りたたまれた文字。
万能であり存在そのものであるという宇宙の真実を表す「暗号」なのだと。
「暗号」は解読しなければ知り得ません。
幻想である<愛>を解読する術は、あなたの心に仕舞い込んだ
複雑で難解なパズルを、根気よくほどいて展開し、
そこに現れた美しい図形をじっと眺めることです。
そこには、幻想ではない、とてもリアルな真実の<愛>が
魂の底から微笑んであなたを抱いてくれるはずです。